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取適法(旧下請法)対応チェックリスト:発注・支払・記録で見直すべき5つのポイント

October 22, 2026
取適法(旧下請法)対応チェックリスト:発注・支払・記録で見直すべき5つのポイント

「うちは資本金が3億円未満だから、下請法は関係ない」。購買や経理の現場で、今もこう考えている会社は少なくありません。

2026年1月1日、下請法は「中小受託取引適正化法」(通称:取適法)に変わりました。名称が変わっただけではありません。適用の判断に従業員数が加わり、運送の委託が対象に入り、価格協議や支払手段についての新しいルールも置かれました。施行から10か月たった今、社内の発注・支払・記録の運用が新しいルールに合っているか、一度確認しておく価値があります。

なお、この記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の取引が対象になるかどうかは、公正取引委員会、中小企業庁、または弁護士にご確認ください。

取適法で何が変わったか

1. 名称と用語

略称は「取適法」または「中小受託取引適正化法」です。用語も変わりました。

旧下請法 取適法
親事業者 委託事業者
下請事業者 中小受託事業者
下請代金 製造委託等代金

2026年1月1日以降に発注した取引が対象です。

2. 適用範囲の拡大

  • 従業員数の基準が加わりました。 従来の資本金基準に加えて、従業員数でも判断します。製造委託などでは300人が、情報成果物作成委託や役務提供委託の一部では100人が区分の目安です。資本金は3億円未満でも、従業員が300人を超える会社は、委託事業者として対象になる場合があります。
  • 特定運送委託が加わりました。 発荷主が運送事業者に物品の運送を委託する取引です。
  • 対象となる取引は、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託、特定運送委託の5類型です。

基準の細かな組み合わせは取引の類型によって異なります。判定に迷う場合は、公正取引委員会の資料で確認してください。

3. 新しい禁止行為

  • 協議に応じない一方的な代金の決定。 中小受託事業者が価格の協議を求めたのに、応じず、必要な説明や情報提供もしないまま代金を決めることは禁止です。代金を据え置く場合も含まれます。
  • 手形払い等の禁止。 手形での支払いは認められません。電子記録債権やファクタリングなども、支払期日までに代金の満額を現金で受け取れないものは認められず、支払遅延にあたります。

4. 執行体制の強化

事業所管省庁の主務大臣にも指導・助言の権限が与えられ、報復措置の申告先にも加わりました。

変わらず重要な委託事業者の義務

  • 発注内容を、書面または電磁的方法で明示すること
  • 取引の記録を作成し、2年間保存すること
  • 物品等を受領した日から60日以内で、できる限り短い期間内に支払期日を定めること
  • 支払いが遅れた場合は、年率14.6%の遅延利息を支払うこと

禁止行為は全部で11項目です。受領拒否、支払遅延、減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、報復措置、有償支給原材料等の早期決済、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更・やり直し、そして協議に応じない一方的な代金決定です。

見直すべき5つのポイント

制度の解説は多くあります。ここでは、社内の仕組みに落とす場面で詰まりやすい点を5つにまとめます。

  1. 発注内容の明示を、漏れなく残す。 発注書や発注メールの内容が、取引ごとに残っているか。口頭や電話で追加・変更した分が、記録から抜けていないか。
  2. 支払期日を、受領日から数える。 支払期日は「受領日から60日以内」です。請求書の到着日や月末締めで計算していると、ずれが出ることがあります。検収・受領の日付がシステムで追えることが前提です。
  3. 価格協議の記録を残す。 値上げの申し入れを受けたとき、誰がいつ協議に応じ、どんな説明をしたか。協議を求められたのに放置した、と見られないための記録です。協議に応じることは、必ず値上げに応じることを意味しません。
  4. 支払手段を見直す。 手形は使えません。電子記録債権やファクタリングに切り替えた場合も、支払期日までに満額の現金を受け取れないなら対象外です。あわせて、振込手数料を中小受託事業者に負担させて代金から差し引くことは、減額にあたるとされています。
  5. 取引記録を2年間、検索できる形で保存する。 保存しているだけでなく、取引先別・案件別に取り出せるか。確認を求められたときに、すぐに出せるかが実務上の分かれ目です。

30日で始める進め方

第1週:対象の取引を洗い出す。 製造・修理・情報成果物・役務・運送のうち、どの取引が対象になりうるか。自社の資本金と従業員数、取引先の規模も整理します。

第2週:発注から支払までの流れを書き出す。 誰が発注し、どこに記録が残り、誰が検収し、いつ支払うか。手作業やExcel管理の箇所を洗い出します。

第3週:直近の取引で抜け漏れを点検する。 先月分の取引をいくつか選び、上の5つのポイントに当てはめます。明示の記録、受領日、支払期日、支払手段、価格協議の記録に抜けがないかを確認します。

第4週:直す箇所を決める。 運用ルールの変更で足りるのか、システムの改修や連携が必要なのかを分けます。

よくある誤解

  • 「資本金だけ見ればよい」。 従業員数の基準が加わりました。
  • 「手形をやめて、電子記録債権にすれば安全」。 支払期日までに満額の現金を得られない仕組みなら、認められません。
  • 「協議に応じる=値上げに応じる」。 求められているのは、協議に応じ、必要な説明や情報提供をすることです。
  • 「記録は紙のファイルがあればよい」。 2年間の保存は必要ですが、必要なときに取り出せなければ運用として機能しません。
  • 「運送は対象外」。 特定運送委託が加わりました。物流を外部に委託している会社は確認が必要です。

ソフトウェアで楽になること

発注内容の記録、受領日の管理、支払期日の計算、取引記録の保存。これらは法律の解釈が難しいというより、データを正しく、同じ手順で残し続けることの難しさです。

すでに購買、在庫、会計のシステム(ERP)をお使いなら、そのデータから「受領日」「支払期日」「支払手段」を取り出し、期日が近づいた案件を知らせ、取引記録を取引先別に検索できるようにする、という連携は現実的です。

シンプリコ(Simplico)は、日系の製造業・物流・エネルギー関連のお客様向けに、10年以上にわたってERPと業務システムの連携を手がけてきました。ERPをお使いの場合は、ERP連携のご案内が出発点になります。取適法に対応したパッケージ製品を販売しているわけではありません。まず現在の運用を伺い、何が足りないかをお伝えします。

お問い合わせ

どのシステムで発注と支払を管理しているか、お聞かせください。足りない部分と、連携で何ができるかをお伝えします。最初は短い打ち合わせで十分です。

  • メール:hello@simplico.net
  • LINE:iiitum1984
  • 電話:+66 97496 6397

ERP以外のシステム構成についてのご相談は、システム設計・コンサルティングもご覧ください。

よくある質問

資本金が3億円未満でも、取適法の対象になりますか。
対象になる場合があります。従業員数の基準が加わったため、従業員が300人を超える会社は、委託事業者になる場合があります。ただし、取引の類型や相手方の規模によって基準は異なります。公正取引委員会の資料でご確認ください。

電子記録債権で払えば、手形払いの禁止に抵触しませんか。
支払期日までに、代金に相当する額の現金を満額受け取れない仕組みであれば、認められず、支払遅延にあたります。

価格交渉を申し入れられたら、必ず値上げに応じる必要がありますか。
いいえ。協議に応じず、必要な説明や情報提供もしないまま、一方的に代金を決めることが禁止されています。協議の記録を残しておくことが大切です。

いつから適用されていますか。
2026年1月1日以降に発注した取引が対象です。

運送を外部に委託しています。対象になりますか。
発荷主が運送事業者に物品の運送を委託する取引は、特定運送委託として新たに加わりました。ご自身の取引が対象かどうかは、公正取引委員会の資料または専門家にご確認ください。

出典

法令の正式名称:中小受託取引適正化法(旧:下請代金支払遅延等防止法)。2026年1月1日施行。

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